2012年年賀状の体験談

できるだけ具体的に、漏れがないように人事制度をつくろうとするあまり、社員がだれも理解できないような内容にしてしまうケースは少なくありません。 また、コンサルタントの支援を受ける場合にも注意が必要です。
コンサルタントによっては、費用をもらっている手前、多くの資料をつくらないと仕事をしたことが証明できないとばかりに、とりあえず分厚い電話帳’にしてしまう傾向があります。 ところが、ちょっと考えれば、このことの間違いに気づくはずです。
人事制度はいったいだれが使うためのものでしょうか。 この答えは、もちろん社員です。
であれば、現場の営業マンが、工場の製造職が、あるいはパート社員が理解し、活用できるものでなければ意味がありません。 シンプルisベスト。
一目でだれもが理解できるものこそが、優れた制度といえます。 部長、課長といった役職や社内資格等級はどのように考えればよいのでしょうか。

結論からいうと、できるだけ簡素化し、責任範囲を明確にすることが重要です。 やたらに役職の階層が多く、複雑にしている会社を見かけますが、そのような必要性はほとんどの場合ありません。
小売業や飲食業はもともとシンプルな組織ですから、店舗部門を中心に、だれが見ても理解できるものにすべきです。 具体的には、中堅・中小企業の場合、6〜8段階もあれば十分です。
下から、「見習い・補助」「一人前」「主任クラス」「店長クラス」……というように組み立てていき、それぞれのランクの違いが簡単に説明できるような区分にします。 もちろん、必要があれば、「店長」をレベルの違いに応じて2〜3段階に分けてもかまいませんが、その場合も違いが分かるようにしましょう。
左ページは、15段階あった等級を7段階に整理・統合した事例です。 これに加え、例えば店舗部門の4等級に昇格するにはどうすればよいか、また昇格したら何をしなければならないかといった職種別の等級基準を明確にしておきます。
それまでの15等級制では、S−2とS−3の違いをきっちりと説明できる人はいませんでしたが、変更後は、かなり社員の理解度が高まりました。 一方、役職の名称や種類については、会社独自の考えを反映したほうがよいと思います。
店長をマネージャーと呼ぶ会社もあります。 社員から見て「カッコいい」名称を考えてみてください。
それでは、実際に和食チェーン店を展開している会社の等級ステップを見ながら、解説を進めましよう。 この体系の特徴は、大きく一般職群と専門職群に分けていることです。
この会社における専門職とは、主に調理スタッフのことを指します。 それまでは、全社統一体系のなかで処遇していたのですが、次第に不都合が大きくなってきました。

調理師に関しては、経験者を年俸保証で採用するケースが多く、給与水準も高めでした。 にもかかわらず、調整給などをつけながら同じ制度に押し込めていたのですから、自ずと無理が生じてきます。
そこで、調理師は専門職と位置づけ、給与や役職の体系を分離することにしたのです。 調理部門以外にも、専門職コースを設けたほうがよいと思われる会社はあります。
例えば、対面販売や訪問販売により比較的高額商品をセールスするスタイルの販売職のなかには、突出して販売成績を上げる人がいます。 ところが、このような人が、店長など管理職の適性を持たないケースがあります。
その場合、管理職として昇格させるより、販売専門職として活用してもらったほうが、本人にも会社にも有益といえます。 当然、店長と同等かそれ以上の給与水準も可能な制度にしておく必要があります。
ただし、専門職とは専門能力を活かして会社に高いご貢献をする人のことですので、管理職に向かないから専門職にという発想にならないよう注意しなければなりません。 等級フレームができれば、職種ごとの等級基準を明確にしていきます。
販売部門も事務部門も同じ等級基準にすると、どうしても曖昧な表現になってしまい、役割責任が分かりにくくなるからです。 等級責任基準とは、その等級に求められる職責や行動レベルを分かりやすく整理したものです。
小売業における店舗・営業部門の等級責任基準例の一部ですが、何をしなければならないかが簡潔に述べられています。 ここに記載されている以外にも、販売促進企画や売場改善、店舗レイアウトの変更など業務上実施すべき事柄については盛り込んだほうがよいでしょう。

部門ごとに「この等級にはどのような役割があるか」を議論し、整理するだけですので、全く難しいことではありません。 できれば、部門の責任者が中心となってまとめていくほうが、より部門方針に沿った内容にすることができます。
どうしても議論が進まない場合には、やり方を逆転させてみることも1つの方法です。 すなわち、等級のフレームができた段階で、とりあえず現在いる社員を当てはめて、一覧にしてみます。
そのうえで、なぜこの人たちは3等級なのに、こちらの人は2等級なのかというように議論し、その違いを基準にするのです。 実在する社員の顔を思い浮かべることで、具体的に」・イメージが湧いてきます。
ただし、それだけでは現在の社員の状態を文章化したに過ぎませんので、今後の・期待を入れることを忘れないでください。 たいていの会社の給与規程には、「毎年○月に定期昇給を行う」という一文が入っています。
日本の会社では、ほぼ例外なく毎年昇給することが当然と考えられていました。 これは、毎年収益が伸びていくことを前提に、真面目に働いていれば、必ず給与は上がるという仕組みだったからです。
ところが、収益が安定的に拡大する会社は少数派となった昨今では、昇給を約束する制度は続けられません。 この低い人材だけが社内に残り、ますます収益悪化の方向へ進んでいくのです。
このような悪循環を断つには、社員も経営者も、定期昇給という言葉を捨て、定期給与改定という発想に切り替えることが必要です。 毎年一度給与を見直す、このとき、上がる人もいるが、変わらない人、場合によっては下がる人もいるということになります。

給与制度をつくる場合、手順として、手当類の整理から始めるのがよいでしょう。 基本給部分は、その後でじっくりと取り組むことになります。
手当の種類、金額を見直す際のポイントは、その手当の目的は何か、また経営者の考えに沿った内容になっているかということです。 時間外や休日勤務手当以外は、どの手当をつけなければならない、といった法律があるわけではありません。
存在することが当然のように思われている家族手当も、つかない会社は案外多いものです。 結婚したことや、子供が生まれたことなど、会社への貢献とは直接的な関係がないと考えれば、家族手当を設ける必然性はなくなります。
他方、家族をかかえて苦労している社員の生活を最低限支援すべき、という考え方の社長もいます。 どちらが正解ということはないのです。
主な手当の内容と平均額(目安額)、今後の考え方について整理しています。 家族手当や住宅手当、地域手当等は生活給としての位置づけとなり、役職手当や営業手当、皆勤手当等は仕事給としての性格が強まります。
大きな流れとしては、手当類に関しても、仕事の役割や成果、能力に対して支給される仕事給的なものの割合が増える傾向にあります。

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